人との絆って大事だけど、物との絆も大切にしたいよな。
424 名前:ゲームセンター名無し[sage] 投稿日:04/06/10 23:08 ID:???
中学生のころ、近所の駄菓子屋ゲーセンばかりで遊んでいた俺を
友人が駅前の大きめのゲーセンに連れ出した。 そこで最初に目に留まったのが、赤い車をそのまま設置したかのような
『OUT RUN』だった。 大型筐体に無縁だった俺はそれを見てものすごい衝撃を受けた。 その店には他にも車モノは並んでいたけど、無機質的なサーキットで
レースをするようなものばかりで、不慣れな俺には敷居が高く、
楽しむには遠くに感じられた。 つづく
425 名前:ゲームセンター名無し[sage] 投稿日:04/06/10 23:09 ID:???
しかし『OUT RUN』は違った。
死と隣り合わせの「レース」ではなくて「ドライブ」の感覚、
緻密に描かれて表現された美しい景色、
実車を思わせるような運転席の左右移動、
秀逸なサウンド、助手席の金髪美女。
そして何と言っても、少年ならば
必ず一度は憧れる、
「赤いオープンカー」。 駄菓子屋で20円ゲームばかりやっていた俺は、
熱に浮かされたように1回100円のこのゲームを
やりまくった。小遣いはあっという間に尽きた。
他人がプレイしているのを見ているだけでも
夢見ごこちになれたこのゲーム。そして思った。 「大人になったら、絶対に赤いオープンカーを買う!」 つづく 426 名前:ゲームセンター名無し[sage] 投稿日:04/06/10 23:10 ID:???
数年後、俺は大人になった。自分でそこそこの収入も
得られるようになっていた。 二十歳のときから姉のお古で軽自動車に乗っていたが、
ついに自分で車を買うことになった。
「人も荷物ものらないから」と言う家族の反対に
耳を貸さず、俺は二人乗りの赤いオープンカーを
購入した。 さすがに左ハンドルには手が出せなかったし、
助手席に乗る予定の女性もいなかったが、
夢が叶って俺は幸せだった。 しかし、その幸せも長くは続かなかった。 先に乗っていた軽に比べて維持費がかかる。
燃費は劣るし、税金も高い。
二人しか乗れないことは想像以上に不便で、
友人らと連れ立って遊びに行くときは
肩身の狭い思いもした。 「夢」が叶って「現実」になってしまうと、
途端に気持ちが萎えることがある。
と、言うことを痛感してしまった。 いつしか「その車」は、「移動のための道具」
と化していた。 427 名前:ゲームセンター名無し[sage] 投稿日:04/06/10 23:11 ID:???
そして数年が経過した。 俺も三十路に手が届こうかと言うのに、
相変わらず「その車」を使って
ゲーセン通いは続けていた。 ある日、あるゲームが目に付いた。 『OUT RUN 2』 それを見て、「ったく何年越しの続編だ。」
とあきれ交じりの苦笑がもれた。
しかし、まぁ、懐かしさも手伝って
話のネタにと一度プレイすることにした。 車を選ぶ。その筐体は、たまたま赤い車が
選択できる設定だった。何種類かあったが、
折角なのでオープンカーを選んでみた。 曲を選ぶ。曲数が増えているみたいだったが、
一番好きだった『passing breeze』を
選択。いざゲームスタート。 最初のコースは簡単。難なく最初の
チェックポイントに着く。
此処からが難しくなるんだろうなと
思っていたら、画面が滲んで見え始めた。 つづく 428 名前:ゲームセンター名無し[sage] 投稿日:04/06/10 23:13 ID:???
「あれ?画面の異常?」と一瞬思ったけど
そうじゃなかった。俺が涙を流していた。
慌てて拭ったけど、涙が止まらなかった。 それでも途中で席を立つことはぜず、
時間切れまでプレイ。小走りに
店を出て、駐車場の「その車」に乗り込んで、
ステアリングに突っ伏すようにして、泣いた。 涙も拭かず、鼻水を流しながら、ただ泣いた。 そのときの気持ちは、今でも言葉では表せない。
自戒・自責。大人になって「汚れてしまった」感覚。
単なる機械であるはずの
「その車」へのたまらない愛おしさ。
様々なものが脳裏を巡った。 次の日、俺は「愛車」を久しぶりに手洗いで洗車した。
今も元気に走っている。これからも長い付き合いになるだろう。 終わり。 人との絆って大事だけど、物との絆も大切にしたいよな。
中学生のころ、近所の駄菓子屋ゲーセンばかりで遊んでいた俺を
友人が駅前の大きめのゲーセンに連れ出した。 そこで最初に目に留まったのが、赤い車をそのまま設置したかのような
『OUT RUN』だった。 大型筐体に無縁だった俺はそれを見てものすごい衝撃を受けた。 その店には他にも車モノは並んでいたけど、無機質的なサーキットで
レースをするようなものばかりで、不慣れな俺には敷居が高く、
楽しむには遠くに感じられた。 つづく
425 名前:ゲームセンター名無し[sage] 投稿日:04/06/10 23:09 ID:???
しかし『OUT RUN』は違った。
死と隣り合わせの「レース」ではなくて「ドライブ」の感覚、
緻密に描かれて表現された美しい景色、
実車を思わせるような運転席の左右移動、
秀逸なサウンド、助手席の金髪美女。
そして何と言っても、少年ならば
必ず一度は憧れる、
「赤いオープンカー」。 駄菓子屋で20円ゲームばかりやっていた俺は、
熱に浮かされたように1回100円のこのゲームを
やりまくった。小遣いはあっという間に尽きた。
他人がプレイしているのを見ているだけでも
夢見ごこちになれたこのゲーム。そして思った。 「大人になったら、絶対に赤いオープンカーを買う!」 つづく 426 名前:ゲームセンター名無し[sage] 投稿日:04/06/10 23:10 ID:???
数年後、俺は大人になった。自分でそこそこの収入も
得られるようになっていた。 二十歳のときから姉のお古で軽自動車に乗っていたが、
ついに自分で車を買うことになった。
「人も荷物ものらないから」と言う家族の反対に
耳を貸さず、俺は二人乗りの赤いオープンカーを
購入した。 さすがに左ハンドルには手が出せなかったし、
助手席に乗る予定の女性もいなかったが、
夢が叶って俺は幸せだった。 しかし、その幸せも長くは続かなかった。 先に乗っていた軽に比べて維持費がかかる。
燃費は劣るし、税金も高い。
二人しか乗れないことは想像以上に不便で、
友人らと連れ立って遊びに行くときは
肩身の狭い思いもした。 「夢」が叶って「現実」になってしまうと、
途端に気持ちが萎えることがある。
と、言うことを痛感してしまった。 いつしか「その車」は、「移動のための道具」
と化していた。 427 名前:ゲームセンター名無し[sage] 投稿日:04/06/10 23:11 ID:???
そして数年が経過した。 俺も三十路に手が届こうかと言うのに、
相変わらず「その車」を使って
ゲーセン通いは続けていた。 ある日、あるゲームが目に付いた。 『OUT RUN 2』 それを見て、「ったく何年越しの続編だ。」
とあきれ交じりの苦笑がもれた。
しかし、まぁ、懐かしさも手伝って
話のネタにと一度プレイすることにした。 車を選ぶ。その筐体は、たまたま赤い車が
選択できる設定だった。何種類かあったが、
折角なのでオープンカーを選んでみた。 曲を選ぶ。曲数が増えているみたいだったが、
一番好きだった『passing breeze』を
選択。いざゲームスタート。 最初のコースは簡単。難なく最初の
チェックポイントに着く。
此処からが難しくなるんだろうなと
思っていたら、画面が滲んで見え始めた。 つづく 428 名前:ゲームセンター名無し[sage] 投稿日:04/06/10 23:13 ID:???
「あれ?画面の異常?」と一瞬思ったけど
そうじゃなかった。俺が涙を流していた。
慌てて拭ったけど、涙が止まらなかった。 それでも途中で席を立つことはぜず、
時間切れまでプレイ。小走りに
店を出て、駐車場の「その車」に乗り込んで、
ステアリングに突っ伏すようにして、泣いた。 涙も拭かず、鼻水を流しながら、ただ泣いた。 そのときの気持ちは、今でも言葉では表せない。
自戒・自責。大人になって「汚れてしまった」感覚。
単なる機械であるはずの
「その車」へのたまらない愛おしさ。
様々なものが脳裏を巡った。 次の日、俺は「愛車」を久しぶりに手洗いで洗車した。
今も元気に走っている。これからも長い付き合いになるだろう。 終わり。 人との絆って大事だけど、物との絆も大切にしたいよな。